🗺️歴史をたどりながら、世界遺産を知る2026年度版
← チャプター一覧

火を噴く島、巨大な川、水に沈む大湿原

火山と大河と湿地が育む、アメリカ大陸の自然

地質時代〜現代

自然遺産編の第6章では、アメリカ大陸から、大地と水が生きものを育む3つの景観を見ていく。まずアメリカ・ハワイ島のハワイ火山国立公園。太平洋の真ん中で今も溶岩を噴き出し、島を成長させ続ける火山の公園だ。次にブラジルの中央アマゾン保全地域群。世界最大級の熱帯雨林と、その中を流れるアマゾン川の流域である。そして同じくブラジルのパンタナル保全地域。雨季になると広い範囲が水に沈む、世界最大級の熱帯湿地だ。 ハワイの島々は、はるか海の底からわき上がるマグマが作った海洋島で、第1話のガラパゴス諸島や、日本編の小笠原諸島と同じように、隔離された島で独自の生きものが進化する舞台になった。一方、アマゾンとパンタナルは同じブラジルにありながら、深い森と広い湿地という、対照的な姿を見せる。火と水、そして生命がどのように結びついているのかを考える章だ。

このチャプターで押さえる世界史の軸

  • ハワイ火山国立公園―ホットスポットが生む、今も活動を続ける火山と、成長を続ける島
  • 中央アマゾン保全地域群―世界最大級の熱帯雨林と、出会う2つの大河
  • パンタナル保全地域―雨季に水没する、世界最大級の熱帯湿地と野生動物

🎧 自然遺産編 第6話:火を噴く島、巨大な川、水に沈む大湿原

想定12分

ハワイ火山国立公園(アメリカ合衆国)の写真

写真:Hawaiʻi Volcanoes National Park (DSC08881) — Trougnouf (Benoit Brummer)(CC BY 4.0) via Wikimedia Commons

自然遺産検定区分:世界の自然遺産
1987年登録

ハワイ火山国立公園

アメリカ合衆国

太平洋の真ん中、ハワイ島にある国立公園。世界でもっとも活発な火山のひとつとされるキラウエア火山と、体積では世界最大級の火山とされるマウナ・ロア火山を中心とする。この2つは、粘り気の少ない溶岩が流れ広がってできた、なだらかな斜面をもつ『楯状火山』で、溶岩が海に流れ込んで新しい陸地をつくる様子が見られる。キラウエアは2018年にも大規模な噴火を起こし、山頂部が大きく陥没した。 ハワイの島々は、『ホットスポット』と呼ばれる、地球の深部からマグマが湧き上がる場所の上を、太平洋プレートがゆっくり北西へ動いていくことで、次々と生まれた。そのため、北西にある島ほど古く、いま活動しているハワイ島がもっとも若い。火山ができ、やがて浸食されて小さくなっていく、島の一生が、列島全体に並んで見えるのだ。陸から遠く離れた海洋島であるため、ハワイガン(ネネ)や、ハワイミツスイ類など、独自に進化した固有種が多いことも特徴だ。地元ハワイの神話では、火山の女神ペレがキラウエアに住むと伝えられ、人々にとっても大切な聖地となっている。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は1987年、所在地はアメリカ合衆国ハワイ島
  • キラウエア(世界有数の活発な火山)とマウナ・ロア(体積で世界最大級)の楯状火山
  • ホットスポットと太平洋プレートの動きが島を生む、ハワイガンなどの固有種が生息

雑学メモ

  • キラウエア火山は世界でもっとも活発な火山のひとつで、2018年には山頂部が大きく陥没する大規模な噴火があった。
  • ハワイの島々は、ホットスポットの上を太平洋プレートが動くことで次々に生まれた。北西の島ほど古く、ハワイ島がもっとも若い。
  • ハワイの神話では、火山の女神ペレがキラウエアに住むとされ、火山は聖地でもある。
🌍 Google Earthで場所を見る
中央アマゾン保全地域群(ブラジル)の写真

写真:Meeting of Waters (Manaus) — Ana Claudia Jatahy - MTUR(CC0) via Wikimedia Commons

自然遺産検定区分:世界の自然遺産
2000年登録

中央アマゾン保全地域群

ブラジル

ブラジル北部、アマゾン川流域の熱帯雨林に広がる、複数の保護区からなる遺産。アマゾンは世界最大級の熱帯雨林で、アマゾン川は流量で世界最大の川とされる。登録地域には、ネグロ川流域の広大な森や湖、河川の島々などが含まれ、世界でも有数の生物多様性を誇る。アマゾンカワイルカ(ピンクイルカ)、マナティー、ジャガー、オオカワウソなどの動物のほか、巨大な葉をもつオオオニバスなど、多様な動植物が暮らしている。 アマゾンの特徴のひとつが、雨季に川が増水し、森の一部が水に沈む『冠水林』だ。魚が森の中を泳ぎ、果実を食べ、種子を運ぶという、水と森が一体となった生態系が見られる。また、黒い水のネグロ川と、泥を含んで茶色く濁ったソリモンイス川が、マナウス付近で出会い、温度や流れの速さ、成分の違いから、しばらくのあいだ混ざらずに並んで流れる『出会いの水』はよく知られている(写真はマナウス付近で見られるその様子)。近年は森林伐採や開発が課題となっており、地球規模の気候や生物多様性を守る観点からも、アマゾンの保全は重要視されている。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は2000年(2003年に拡大)、所在地はブラジル北部のアマゾン川流域
  • 世界最大級の熱帯雨林、ピンクイルカ・マナティー・ジャガーなど生物多様性が豊か
  • ネグロ川とソリモンイス川の『出会いの水』、雨季に水没する冠水林

雑学メモ

  • アマゾン川は流量で世界最大の川とされ、流域には世界最大級の熱帯雨林が広がる。
  • 黒い水のネグロ川と茶色いソリモンイス川は、マナウス付近で出会い、しばらく混ざらずに並んで流れる。
  • 雨季に森が水没する冠水林では、魚が森の中で果実を食べ、種子を運ぶ独特の生態系が見られる。
🌍 Google Earthで場所を見る
パンタナル保全地域(ブラジル)の写真

写真:Onça do Pantanal — Leonardo Ramos(CC BY-SA 4.0) via Wikimedia Commons

自然遺産検定区分:世界の自然遺産
2000年登録

パンタナル保全地域

ブラジル

ブラジル中西部、パラグアイ川の流域に広がる、世界最大級の熱帯湿地の一部を保護する遺産。湿地全体はブラジルのほか、ボリビアやパラグアイにもまたがっている。パンタナルは、雨季には川があふれて、広い範囲が水に沈み、乾季には水が引いて草原が現れるという、水位の大きな変化をくり返す。この季節ごとの水の動きが、多様な生きものを育んでいる。 湿地には、ジャガー、カピバラ、ヤカレカイマン、オオアリクイ、スミレコンゴウインコ(ハイアシンスコンゴウインコ)、ジャビルコウノトリなど、多くの野生動物が見られる。特にジャガーは、この地域が世界でも観察しやすい場所として知られている。アマゾンが深い森の生態系だとすれば、パンタナルは、水位の変化がつくる広い湿地の生態系だ。同じブラジルに位置しながら、対照的な姿を見せる。ただし、登録された範囲は湿地全体のごく一部で、周辺の牧場開発や森林火災など、保全の課題も多い。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は2000年、所在地はブラジル中西部(パンタナルはボリビア・パラグアイにもまたがる)
  • 世界最大級の熱帯湿地の一部、雨季と乾季で水位が大きく変わる
  • ジャガー、カピバラ、ヤカレカイマン、スミレコンゴウインコなどが生息

雑学メモ

  • パンタナルは世界最大級の熱帯湿地で、ブラジルのほか、ボリビアやパラグアイにもまたがる。登録された範囲は、その一部。
  • 雨季には広い範囲が水に沈み、乾季には水が引いて草原が現れる。この水位の変化が、多様な生きものを育む。
  • ジャガーのほか、カピバラ、ヤカレカイマン、スミレコンゴウインコなど、野生動物が多く見られる。
🌍 Google Earthで場所を見る
このチャプターのクイズに挑戦する →