🗺️歴史をたどりながら、世界遺産を知る2026年度版
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世界の屋根、最古の湖、碧い水の谷

地殻の動きと水が生んだ、3つの絶景

地質時代〜現代

自然遺産編の第5章では、地殻の動きと水が生み出した、アジアの3つの景観を見ていく。まずネパールのサガルマータ国立公園。インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突して押し上げられた、世界最高峰エベレストを擁するヒマラヤの山岳地帯だ。次にロシアのバイカル湖。大陸の裂け目にできた、世界で最も深く、最も古い湖のひとつである。そして中国の九寨溝。石灰岩地帯の水が、澄みきったエメラルドグリーンやコバルトブルーの湖群をつくる、色彩豊かな谷だ。 第3話ではアフリカ最高峰キリマンジャロを、世界一の高さのエベレストと見比べることができる。また、第3話のハロン湾と同じく、九寨溝も石灰岩が水と深く関わる景観だが、ここでは水に溶けた石灰分が沈殿して湖や滝をつくっている。地殻の動き、つまりプレートの衝突と大陸の裂け目が、山と湖という大きな地形を生み、水がその表面を彩る。自然遺産はこの二段構えで見ると理解しやすくなる。

このチャプターで押さえる世界史の軸

  • サガルマータ国立公園―プレートの衝突が押し上げた世界最高峰と、山岳民族シェルパの暮らし
  • バイカル湖―大陸の裂け目にできた世界最深・最古級の湖と固有種
  • 九寨溝―石灰分を含む水がつくる、色彩豊かな湖と滝の谷

🎧 自然遺産編 第5話:世界の屋根、最古の湖、碧い水の谷

想定12分

サガルマータ国立公園(ネパール)の写真

写真:Mount Everest, Himalayas — Vyacheslav Argenberg(CC BY 4.0) via Wikimedia Commons

自然遺産検定区分:世界の自然遺産
1979年登録

サガルマータ国立公園

ネパール

ネパール東部、ヒマラヤ山脈の中にある国立公園。世界最高峰エベレスト(標高8848メートル)を中心に、ローツェなど8000メートル級の山々や、氷河、深い谷が連なる。『サガルマータ』はネパール語で『天空の頭』を意味するエベレストの呼び名で、チベット語では『チョモランマ』と呼ばれる。 ヒマラヤ山脈は、かつて別々の大陸だったインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突し、その間にあった海底の地層が押し上げられてできた。今もインド亜大陸は北へ押し続けていて、ヒマラヤは少しずつ高くなっていると考えられている。エベレストの山頂付近の地層から海の生物の化石が見つかることは、その証拠としてよく知られている。この地域には、ユキヒョウやレッサーパンダなど希少な動物が生息し、山岳民族のシェルパが、標高の高い土地で独自の文化を営んでいる。シェルパは登山隊の案内やポーターとして知られ、エベレスト登山を支えてきた人々でもある。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は1979年、所在地はネパール、世界最高峰エベレスト(8848m)を含むヒマラヤの国立公園
  • 『サガルマータ』はネパール語で『天空の頭』、チベット語では『チョモランマ』
  • インド亜大陸とユーラシア大陸の衝突が生んだ山脈、山岳民族シェルパの暮らし

雑学メモ

  • 『サガルマータ』はネパール語で『天空の頭』の意味。チベット語では『チョモランマ』と呼ばれる。
  • ヒマラヤは、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突して、海底の地層が押し上げられてできた。山頂付近から海の生物の化石が見つかる。
  • この地域に暮らす山岳民族シェルパは、エベレスト登山の案内やポーターとして登山隊を支えてきた。
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バイカル湖(ロシア)の写真

写真:Panorama of lake Baikal — Sergey Pesterev(CC BY-SA 4.0) via Wikimedia Commons

自然遺産検定区分:世界の自然遺産
1996年登録

バイカル湖

ロシア

ロシア南東部、シベリアにある三日月形の巨大な湖。最大水深は約1640メートルに達する世界一深い湖で、できたのは約2500万年前とされる、世界でも最も古い湖のひとつでもある。面積は琵琶湖の約46倍にもおよび、湖水に含まれる淡水の量は、地表にある淡水の約2割を占めるといわれる。『シベリアの真珠』とも呼ばれる、透明度の高い湖だ。 バイカル湖は、ユーラシア大陸の地殻が引き裂かれてできた『断層湖(リフト湖)』で、今も少しずつ広がっていると考えられている。長い年月にわたって他の水域から隔離されてきたため、生物の固有種が非常に多いことも大きな特徴だ。淡水に生息するアザラシとして世界的に珍しい、バイカルアザラシ(ネルパ)がその代表で、ダーウィンが進化を考えたガラパゴスにも比べられる、進化の実験場として評価されている。冬には湖面全体が厚い氷に覆われる。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は1996年、所在地はロシア南東部(シベリア)
  • 世界で最も深い湖(最大水深約1640m)で、世界最古級の湖(約2500万年前)
  • 断層湖(リフト湖)で、バイカルアザラシなど固有種が多い

雑学メモ

  • バイカル湖は最大水深が約1640メートルの世界一深い湖で、約2500万年前にできた、世界でも最も古い湖のひとつとされる。
  • 地殻が引き裂かれてできた断層湖(リフト湖)で、面積は琵琶湖の約46倍にもなる。
  • 淡水に生息するアザラシとして珍しいバイカルアザラシ(ネルパ)をはじめ、固有種が非常に多い。
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九寨溝の自然景観および歴史地区(中国)の写真

写真:Panda Lake (Jiuzhaigou) — Suicasmo(CC0) via Wikimedia Commons

自然遺産検定区分:世界の自然遺産
1992年登録

九寨溝の自然景観および歴史地区

中国

中国四川省北部の山岳地帯にある、色鮮やかな湖や滝が連なる渓谷。『九寨溝』の名は、この谷にチベット族の9つの村(寨)があることに由来する。標高の高い山あいに、エメラルドグリーンやコバルトブルーに輝く大小の湖『海子(ハイズ)』と、階段状に連なる滝が点在し、季節ごとに表情を変える景観で知られる。 この鮮やかな水の色は、石灰岩地帯を流れる水に溶け込んだ石灰分(炭酸カルシウム)が、水底に沈殿して石灰華の堆積を作り、光の反射によって独特の色合いを生むことによる。ハロン湾で見た、石灰岩が浸食されてできた景観とは対照的に、ここでは石灰分が沈殿して湖や堰、滝をつくる働きが景観の主役だ。森林にはジャイアントパンダなど希少な動物が生息している。2017年の地震で被害を受けたが、その後、復旧が進められてきた。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は1992年、所在地は中国四川省北部
  • 名前は谷にあるチベット族の9つの村(寨)に由来
  • 石灰分の沈殿(石灰華)が生む色鮮やかな湖『海子』と階段状の滝、2017年の地震で被災

雑学メモ

  • 『九寨溝』の名は、谷にチベット族の9つの村(寨)があることに由来する。
  • 水の鮮やかな色は、石灰岩地帯の水に溶けた石灰分(炭酸カルシウム)が沈殿してできる石灰華の堆積が、光を反射することで生まれる。
  • 中国では、同じ四川省の近隣にある黄龍も同時期に登録されているが、九寨溝とは別の遺産として登録されている。
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