🗺️歴史をたどりながら、世界遺産を知る2026年度版
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世界を結んだモダニズム建築

ル・コルビュジエと、日本の世界遺産27件、完全制覇

20世紀(近代建築運動、国立西洋美術館は1959年竣工)

日本編もいよいよ最終章。これまでの26件は、古墳、社寺、鉱山、原生林など、いずれも日本という土地に固有の歴史・文化・自然を扱ってきた。しかし最後に残ったル・コルビュジエの建築作品―国立西洋美術館は、まったく性格が異なる。これはスイス出身の建築家ル・コルビュジエによる『近代建築運動への顕著な貢献』を評価する遺産で、フランス・スイス・ドイツ・ベルギー・アルゼンチン・インド・日本という7カ国、17の建築作品をひとつの資産としてまとめた、国際的な連続資産(トランスバウンダリー・シリアル・ノミネーション)だ。日本の国立西洋美術館は、そのうちの日本を代表する1件として名を連ねている。 つまりこの遺産は、『日本独自の何か』ではなく、『日本が世界的な建築運動の一部に確かに参加していた証拠』として登録されている、日本の27件の中でも異色の存在だ。鎖国、開国、そして高度経済成長を経て、20世紀の日本が世界の芸術・建築潮流と同じ土俵に立っていたことを示すこの一件をもって、日本の世界遺産27件(文化遺産22件・自然遺産5件)がすべて出そろう。日本編はここでいったんの完結を迎える。

このチャプターで押さえる世界史の軸

  • 近代建築運動―鉄筋コンクリートやガラスを生かした新しい建築思想
  • 7カ国17資産にまたがる国際的な連続資産という、他の日本の遺産にはない性格
  • 日本編、完結―文化22件・自然5件、日本の世界遺産27件が出そろう

🎧 日本編 第10話(最終回):世界を結んだモダニズム建築

想定12分

ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献(国立西洋美術館)

写真:2018 National Museum of Western Art, Tokyo 3KakidaiCC BY-SA 4.0) via Wikimedia Commons

文化遺産検定区分:日本の遺産
2016年登録

ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献(国立西洋美術館)

日本(東京都)

東京・上野公園にある国立西洋美術館は、スイス出身の建築家ル・コルビュジエが設計した、日本国内で唯一の作品だ。1959年に竣工したこの美術館は、実業家・松方幸次郎が集めた『松方コレクション』という西洋美術のコレクションを収蔵するために建てられた。ピロティ(1階を柱だけで支え、地上部分を開放的にする建築手法)や、中央から渦巻き状に展示空間を広げていく『無限成長美術館』という構想など、ル・コルビュジエが提唱した新しい建築思想が随所に体現されている。 この遺産で特に押さえておきたいのは、登録の枠組みそのものだ。フランス、スイス、ドイツ、ベルギー、アルゼンチン、インド、そして日本という7カ国にまたがる17の建築作品が、『ル・コルビュジエの建築作品' ―近代建築運動への顕著な貢献』というひとつの資産としてまとめて登録されている。1つの国だけでなく複数の国にまたがる遺産を『トランスバウンダリー・サイト』と呼び、日本の世界遺産の中でこの形式を取っているのはこの1件だけだ。国立西洋美術館は、日本が近代建築運動という世界的な潮流と確かにつながっていたことを示す証拠として、この国際的な資産群の一角を占めている。

📝 検定ポイント(これだけは覚える)

  • 登録年は2016年、所在地は東京都(上野公園)、1959年竣工
  • 設計者はル・コルビュジエ、松方コレクションの収蔵のために建設
  • フランス・スイス・ドイツ・ベルギー・アルゼンチン・インド・日本の7カ国17資産からなる国際的な連続資産(日本で唯一のトランスバウンダリー・サイト)

雑学メモ

  • 国立西洋美術館の建設のきっかけは、第二次世界大戦後にフランス政府が『松方コレクション』を日本に返還する条件として、それを収蔵する美術館の建設を求めたことにあった。
  • 『ピロティ』(建物を柱で持ち上げ、1階部分を開放する手法)や『無限成長美術館』(中央から渦巻き状に展示室を増築していける構想)は、ル・コルビュジエが提唱した近代建築の代表的な理念とされる。
  • この遺産の正式な構成資産は7カ国17件にのぼり、フランスのサヴォア邸、インドのチャンディーガル、アルゼンチンのクルチェット邸なども含まれる、世界でも珍しい多国間の連続資産。
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