
写真:Ellora Caves, India, Kailasa Temple — Vyacheslav Argenberg(CC BY 4.0) via Wikimedia Commons
エローラ石窟群
インド
インド中西部、ひとつの玄武岩の岩山に、6世紀から10世紀という長い年月をかけて掘り込まれた、34の石窟寺院群。特筆すべきは、ヒンドゥー教・仏教・ジャイナ教という3つの異なる宗教の石窟が、同じ岩山の中に隣接して並んでいる点だ。北側に仏教の石窟、中央にヒンドゥー教の石窟、南側にジャイナ教の石窟が集中しており、異なる時代・異なる宗教の職人たちが、同じ岩山を舞台に、それぞれの信仰を石に刻み続けた。 中でも群を抜いて壮大なのが、ヒンドゥー教のカイラーサナータ寺院だ。これは通常の石窟寺院のように横方向に穴を掘り進めるのではなく、山の上から下に向かって岩を彫り込み、1つの巨大な岩塊から寺院全体を『彫り出す』という、桁外れの手法で作られている。推定で20万トン以上の岩が取り除かれたとされ、現代の重機を使わずにこれを成し遂げたことは、当時の技術と労力の集積を物語っている。異なる宗教が同じ場所で並び立ち続けたこと自体が、古代インドにおける宗教的な寛容さを示す証拠として評価されている。
📝 検定ポイント(これだけは覚える)
- 登録年は1983年、所在地はインド、6〜10世紀にかけて造営された34の石窟寺院群
- ヒンドゥー教・仏教・ジャイナ教という3つの宗教の石窟が同じ岩山に共存
- 代表的建造物はカイラーサナータ寺院、山の岩塊を彫り出して作られた
雑学メモ
- エローラのカイラーサナータ寺院は、山の上から下へ岩を彫り込んで寺院全体を作り出す『彫り出し式』の建築で、推定20万トン以上の岩が取り除かれたとされる。
- 34の石窟のうち、12窟が仏教、17窟がヒンドゥー教、5窟がジャイナ教のもので、宗教ごとに岩山の区画がまとまっている。
- エローラの石窟群は、後に建設が始まった別の石窟遺跡群アジャンター(仏教のみの石窟群)と対比され、両者はセットで語られることが多い。

